Q.散骨はよくないの?宗教的な考え方と4つの理由

説教される男性 散骨

お墓を建てるお金があったとしても継承者がいないし、将来的に散骨を検討しているのですが、親戚に反対されて困ってるんですよね…という方も結構な相談数がありますので専門家としてアドバイスさせていただきます。

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結論から申し上げますと、「散骨」すること自体は厚生労働省が「散骨業」として認めておりますので合法です。ただ、宗教的な考え方や古くからの慣習などにこだわる方からすると「良くない」ことなのだと思われます。

ではなぜ散骨が良くない事とされるのか、その背景や根拠などを以下に解説してゆきたいと思います。「目次」より気になった項目をクリックしてご参照ください。

はじめまして。アットマガジンズ有限会社 代表取締役社長の舘山です。 2008年にハワイで散骨を経験したことをきっかけに「まごころ粉骨&散骨代行」千葉本店長として従事しています。これまで累計1万件以上の粉骨、6000件以上の海洋散骨を代行。NHK『クローズアップ現代』をはじめメディア出演・取材実績も多数ございます。 👉 詳しいプロフィールやメディア実績はこちら

親戚が反対する4つの理由

親戚の方が「散骨は良くない」と反対する背景には、単なる頑固さではなく、これまでの文化や感情面、将来への不安など、明確な4つの理由があります。

1. 「お墓がないと故人が成仏できない」という宗教観・伝統への不安

多くの年配層にとって、幼少期に親から教えられた「人が亡くなったら先祖代々のお墓に入る」のが当たり前という価値観が根強くあります。この価値観を自らの意思で払拭するのは並大抵のことではありません。ただ、長い年月を経て「お墓に入る」事に対して懐疑的な方も増えており、本音としては「お墓に入らないと、魂が彷徨ってしまうのではないか」「故人が可哀想だ」という、心配や罪悪感から反対しています。

2. 「後からお墓参り(手を合わせる場所)ができない」という寂しさ

散骨をしてしまうと、遺骨は海や山に還り、特定の「形」として残りません。「どこに向かって手を合わせればいいのか分からない」「故人に会いに行く場所がなくなって寂しい」という、残された側の喪失感を恐れています。お墓の本質はどちらかというと「生きてる人の心の拠り所」といった要素の方が大きいので気持ちは十分解ります。

3. 「世間体が悪い」「親不孝・手抜きに見える」という周囲の目

「お墓を建てない=経済力がない」「供養を簡略化した」と周囲から見られるのではないか、という世間体を気にするパターンです。「あそこの家はちゃんとした供養もしないのか」と近所や他の親族から噂されるのを避けたい、あるいは「自分が亡くなった後、一族の評判を落としたくない」という防衛本能が働いています。

4. 「将来、自分の入るお墓がなくなるのでは」という実利的な焦り

もし反対している親戚が「本家の跡継ぎ」や「同じお墓に入る予定の人」だった場合、お墓の管理や今後の存続に対する現実的な不安が絡んでいます。「今回の散骨をきっかけにお墓を完全に無くしてしまう(墓じまい)つもりなのか?」「自分が死んだとき、入るお墓の手入れは誰がしてくれるのか?」という、自分自身の終活への危機感です。

1960年代後半から始まった「お墓ブーム」でお墓を買われた方が多い世代でもあり、様々なお話を聞いてる限り4番の理由が最も多いのではないかな?と感じます。

散骨は違法?法律や条例から見る「やってはいけないこと」

つい最近まで、散骨は合法でもなければ違法にもならない「グレー」な存在であり、これが多くの方に「散骨は違法なのでは?」と誤解を生んだ原因となりました。

1991年に石原慎太郎さんが相模湾に散骨された事がきっかけとなり、NPO法人「葬送の自由をすすめる会」が発足し、第1回の海洋散骨が行われた際、法務省から「節度をもって行われる限り、違法ではない(処罰の対象とはしない)」という非公式な見解(事実上の黙認)を引き出したことで、日本での散骨の道が正式に開かれました。

その後、様々な場所で個人的に散骨が行われておりましたが誰一人として罪に問われることもなく、ついに2021年3月に厚生労働省より「散骨業者向けのガイドライン」が発表され、法律こそないものの、黙認でもなく事実上の合法となりました。

と同時に以下のような注意点も発表されています。

遺骨は必ず粉末状にしてから散骨すること

ガイドラインでは「焼骨は、その形状を視認できないよう粉状に砕くこと」と明記されています。これは撒いた遺骨が発見された場合、事件化を防止するためと言われています。

粉骨前と粉骨後の画像
引用:まごころ粉骨

散骨する場所を考慮すること

散骨する際に届け出は不要ですが、どこでも撒いて良いわけではありません。散骨できるのは自身の私有地か、許可を得た他社の私有地、沿岸から離れた海など限定的であり、他人の敷地や国有地、河川などに無許可で散骨しないようガイドラインで指定されています。

→散骨関連の法律や条例などもっと詳しく

親戚を説得するために準備すべきことと、話し合いの切り出し方

近年「墓じまい」が急増しています。平日の昼間に公営墓地へ行くとあちこちで撤去作業を行っているのでその多さが解ると思います。せっかく建てたお墓を解体する理由は「お金がないから」ではありません。一番多い理由は「継承者がいないから」が圧倒的多数です。

継承者がいなくなったお墓は誰も管理できませんので「無縁墓むえんぼ」となり野ざらし状態になってしまいます。ご先祖様供養の為に建てたのに放置となれば本末転倒です。それを先んじて墓じまいに踏み切っているのです。

親戚の思うところや諸事情各々あるかもしれませんが、まずはこの「継承者が途絶えてしまう」という点を丁寧に伝えてから交渉すると納得してくれるかもしれません。「墓じまいしても会食とかはしようね」とか「おじさんの時は責任をもって散骨しますよ」とか優しい口調で説けばきっと応じてくれると思います。要は皆、自分の最後が不安なのです。

まとめ

散骨は継承者の心配が要りませんし、100%自然に還ります。そして「安い」です。物価高騰が続く現代において「安い」というのは何よりも助かります。あるお客様が言っていた「申し訳ないが死者にお金をかけてるほど余裕はない、生きてる私達の方を優先するが、ご先祖様ならきっと許してくれるはず」というセリフが忘れられません。

こうして考えると、散骨は「良くないどころか良いところだらけ」が解答かもしれません。おそらく今後の葬送方法として樹木葬を抜いてスタンダードな存在になるでしょう。それが証拠に少し前まで「良くない」と提言していた人達も、時代の流れに乗り換えて散骨を推奨する動きも見られます。例えば石材店が散骨業者に転身したり、住職が永代供養に海洋散骨を取り入れたりするところも現れました。

かつて「お墓、クラウン、マイホームで一人前!」と言われていた団塊世代も、時代の流れに合わせて発想が変わってきています。ただ「高いお金払ったのにお墓に入れないなんて…散骨は良くない!」と言いたくなる気持ちも理解できます。ですので、そう言われたら優しく説いて気持ちに寄り添ってあげるようにしましょう。きっと良い方向に進むと思います。

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