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実際にあった散骨のトラブル事例と回避策

主な散骨時におけるトラブルは家族や親族間で揉める「遺族トラブル」と、葬儀会社やお寺などと揉める「業者トラブル」の2種類に分けられます。

ネット上は葬儀の仲介会社が提供する情報ページで溢れかえってます。

当然ですが葬儀会社が運営するサイトでは葬儀会社のトラブルは掲載されていませんので消費者は本当の事を知ることはできないでしょう。

また、テレビやネットニュース等ではお寺とのトラブルが大げさに報道されていますが、実際は遺族間トラブルの方が圧倒的に多いのです。

そこで!散骨@マガジン編集部が消費者目線で、実際にあった事例を基にどんなトラブルが起きているのかご紹介いたしますので参考にしてください。

記事更新:

目次 -short cut-

散骨トラブルNEWS

2024/12/25 - 資料請求をしたらその後毎日しつこく電話がかかってきた。(埼玉)
2024/10/18 - お金を払って乗船散骨を依頼したが、出港ついでに他者から預かった遺灰をこっそり散骨していた。(東京)
2023/11/25 - 事務所や支店としてGoogleマップなどに掲載しているものの、実際は営業活動を行っていない支店詐欺を複数社確認。(東京・埼玉)
2023/03/31 - 営業を許可していない一般アパートの一室で粉骨。実際には利用していない利用者の画像をお客様の声として多数表示している業者を確認。(埼玉)
2022/02/12 - 拠点は1ヶ所で夫婦で運営しているのに、バーチャルオフィスなどを使って、あたかも従業員が何名もいるような表現や複数のHPを作って集客している。(大阪)

よくある遺族間のトラブル

お墓に執着する親族と揉めてしまう

実は最も多いトラブルは親族間によるトラブルです。

高度成長期からバブル時代まで続いたお墓ブームの時にお墓を建てた高齢者の中には「マイホーム、クラウン、お墓を揃えたら一人前」という価値観を持った方が多く、せっかく生前からお墓を購入しているのになぜお墓を使わないんだ!と無理強いしてくる親戚が多いのです。

そういった親族が「散骨だと成仏できない」とか「ご先祖様に申し訳ない」等あれこれ理由をつけて揉めるケースが本当に目立ちます。

決裂する二人

トラブルを回避する方法

散骨後に報告して深刻なトラブルに発展するケースがよくありますので、散骨を決定する前に「どうして散骨にする必要があるのか?」という理由を親族一同に対して根気よく説明し、事前に了承を得てから散骨をすると良いでしょう。

現代は少子化が急速に進んでニュース等でも話題になっており、世論に後押しされる形でお墓を建てない選択に理解を深める高齢者が急増中ですので説得も楽になってきています。

また、散骨する事自体にも年々理解も深まってきており、以前であれば「せめて世話になった菩提寺に永代供養しろ」といった事を言い出す親族がましたが、高額な永代供養料に驚いて安価で済む散骨を採用するほうが増えています。

そんな方々にきれいな海の写真を見せると「いいなぁ~自分も散骨にしようかな♪」と言う方も多くなってきました。

とにもかくにも「散骨するから!」ではなくて、「継承者が居なくなるので散骨したいのだけど、どうかな?」とやんわりと意見を聞きながら伝えることが良いと思います。

時代の流れで「仕方ないね」という感じですんなり話が進むことが多いと思います。

継承者のいない墓じまいの手順



遺骨を「全部」撒いてトラブルになってしまった

これは筆者である私のことなんですが、父の遺骨を全て散骨したら「何で全部撒いてしまうんだ!」と叔母にもの凄い剣幕で怒られてしまいました。

要するに少しくらいは手元に残して供養したかったということのようです。

同じような経験をされた方も結構多いので、散骨する際は親族の方に「少し残しておく?」と各自に確認をとってから散骨されることをお勧めします。

確認が取れないときは念のために少しだけ粉末状で残しておくと良いと思います。

遺骨ペンダントに少しとか、スプーン一杯20gとかそれくらいで良いと思います。

残しておけばトラブルになりませんし、要らないと言われたら少しなので散骨も容易です。

喉仏のままや、ダイヤモンドやセラミックを練り込んで加工したりすると、後々処分に困りますのでお勧めはしてません。

粉状であればご自身と一緒に棺に入れられますし、ご自身でそっとどこかに散骨することもできますので本当に安心できます。

散骨後の供養法

海洋散骨業者とのトラブル

旅行業の資格がない仲介業者に注意

個人や小さな会社なのに「全国どこでも散骨できます」みたいな内容が掲載してあり、どうやって運営しているのだろう?と思った方もいると思います。

自社船を持たずに乗船散骨(お客様が一緒に乗る散骨)の手配を行っている場合、内容によっては手配旅行に該当し、有資格者がいない場合、旅行業法違反に抵触する可能性があります

中には有資格者から名義を借りてるだけの業者もありますが、これも違法になります。

「そんな業者はいないだろ?」と思うかも知れませんが、散骨業界自体の歴史が浅く、知らないで営んでいる会社も多いのが実態です。

回避方法としてはホームページの会社概要欄などに旅行業の有資格者の在籍や届け出がしっかり明記されている事などを確認しましょう。

天候が合わず順延が続いて毎週末が台無しに

乗船型の散骨(遺族が一緒に船に乗る場合)は、遺族が土日などの週末に集まって実施されますが、雨や強風などで出港できずに順延だらけになってしまうトラブルが続出しています。

過去最悪の長梅雨だった2019年
ここ数年は天候の急変が多く、特に悲惨だったのが2019年。6月末に始まった梅雨が7月一杯まで続き、結局梅雨が明けたのが8月上旬という記録的な長梅雨で、4週連続延期という過去最悪の状況でした。

その後は晴れたものの台風直撃で順延だらけ・・・荒波の中無理矢理出港して遺族が吐いてしまった、やむなく他のお客さんと合同になったなど業者とのトラブルが増加しました。

こうした気象条件による順延は、散骨業者にはどうすることもできませんが、順延が続いた結果、業者が荒れた波の中を無理に出港したり、「天気が回復しそうなので明日行きましょう!」などと突然呼び出されるなど、無茶をし始める業者がいることが報告されています。

1日に3組も4組も予約を入れて、お客様の安全を無視して運行・・・いつか事故を起こすと思います。

2021年のGW強風高波の中、強行出港した散骨業者がいたらしく、合同散骨に同船したほとんどの遺族が船酔いしてしまい大変なことになった・・・というトラブルを確認しました。

 

怪しい散骨代行業者が増加中

最近では粉骨から散骨までを代行業者に委託する散骨代行サービスというものがあります。

2017年8月に千葉市のまごころ粉骨®がNHKのクローズアップ現代で放送されたのをきっかけに、真似した個人や別業種からの参入が急増し、こうした業者によるトラブルが起きています。

実際にあったトラブル例をあげますと2020年、まごころ粉骨に散骨を依頼しようとしたお客様が、あまりにもHPが似ていたため間違えて料金を振り込んでしまい返金になった事件がありました。

結局、業者間で和解しましたがこの業者は現在も自宅を拠点に営業を続けています。

また、廃棄物処理方法に問題があることが多く、処分を依頼した骨壺などを葬儀社に転売・再利用している!という通報を受けた事もあります。

こういった業者に依頼してしまうと、ある日突然警察から電話がかかってきて「○○さんのご親族の方ですか?山中から骨壺が見つかりまして・・・」となるかもしれませんので依頼しない方が無難かと思います。

不法投棄

悪質な業者を見抜く方法

見抜く方法は意外に簡単です。

こうした悪質な業者の多くは店舗を構えておらず拠点を隠蔽していることが多く、レンタルオフィスや自宅、無許可アパートの一室などで粉骨しています。

HPに掲載されている住所をGoogleストリートビュー等で確認すれば高い確率で危険を回避できます。

また、こうした業者はレビューやお客様からの手紙も偽装してますので、もはやお客様満足度などは信用できません。

人気飲食店じゃあるまいし、100件以上もあるレビューなどこの業界ではあり得ません

もしもあなたが利用者だとして、業者と一緒に写真を撮って「HPに掲載していいよ」など許可を出しますか?しませんよね。

トップページにずらりと掲載されていたら要注意です。高確率でやらせだと思います。

葬儀業者とのトラブル

葬儀業者とのトラブルの多くは料金トラブルです。お葬式の際に懲りた方も多いのではないでしょうか?

「最初の見積と全然違う」とか「当日になって追加料金が発生した」等のトラブルが頻繁に発生しています。

葬儀業界全般の慣習として安さで釣って単価アップ!のようなものが根付いているので当然のように追加してきます。

「葬儀会社が倒産!」というニュースを見た方もいらっしゃると思いますが、葬儀業界は生き残りを賭けて必死なのです。

最近では社会問題として取り上げられたこともあり、控えめになりましたがそれでも「10万と聞いたのに最終的には30万になった」という話は尽きません。

特に「仲介サイト」を経由すると売上の10~15%が仲介手数料として入るので高額になります。これは散骨も同じです。

飛んでゆくお金

値段が高いというのはお客様側の価値観なので何とも言えない部分もあるのですが、こうしたトラブルを避けるためには大手を避けて地元密着でしっかりやってる葬儀社を選び、葬儀の前にしっかり見積りをとり、追加料金が発生しないことを書面で貰っておく事をお勧めします。

少々面倒で葬儀社には嫌がられますが安心を担保できます。

お寺とのトラブル

最近は随分減りましたが数年前までは埋蔵してある遺骨を取り出したり、離檀(檀家をやめる)ことなど考えられなかったので、散骨すると言うと住職にもの凄い剣幕で怒られたり、不当な離檀料などを請求されてトラブルに発展してましたが、最近はあまり聞かなくなりました。

というのも、お寺としても継承者が途絶えて無縁墓になると困るので理解が進んだものと考えられます。

お坊さん

ですが一部の地域では相変わらず嫌がらせのように続いています。

よく聞くのは「永年世話になったのだからせめて菩提寺で永代供養(高額な)せよと説得される」や、「魂の入った遺骨を散骨したら仏様が泣くと説得される」と言った内容です。

お寺の懐事情も理解できますが、脅しのような説得はいかがなものかと思います。

ちなみにこうした離檀交渉は当事者同士の話し合いが原則ですが、解決しない場合は弁護士さんに相談しましょう。

弁護士さん経由だと書面1通であっさり解決することが多いので、初回相談料無料、着手金数万円で喜んで引き受けてくれます。

稀に石材店などが間に入ってお寺と離檀交渉してる方がいますが、その行為は非弁行為と言って弁護士法違反になりますので注意が必要です。

お寺と揉めないで散骨する方法

自分で散骨してトラブルになった例はほとんどない

幸いなことに個人の散骨がトラブルに発展してニュースなどになった事は一度もありません。

嘘のように思えますが本当です。

テレビのニュース等でもこういった報道がされた記憶はないと思います。

もうこれは日本人の民度の高さだと思います。

厚生労働省より「節度をもって行う分にはおとがめなし」と言われておりますので、こういうところをキッチリ遵守するのはさすがだなと思います。今後もこの状態が続くことを祈ってます。

もちろん遺骨をそのまま散骨すればトラブルに発展しかねませんが、きちんと粉骨していれば問題になるような事はないのです。

散骨できる場所、できない場所

散骨トラブルまとめ

散骨時におけるトラブルは天候に関する事以外は予備知識があれば防げる事ばかりです。

特に親族間で揉めることが多いので、兄弟姉妹親戚が多い方は要注意です。逆に親族が少ない方はそれほど気にしなくても済みます。

少子化でお墓を維持するのも難しくなってきましたので高齢者の考え方も大きく変わってきています。

もしかすると墓じまいして散骨するのであれば今がチャンスなのかもしれません。

自分で散骨する方法